第35回日本看護科学学会学術集会でポスター発表をしました

平成27年12月5日~6日に広島市で開催された 第35回日本看護科学学会学術集会で、ポスター発表をしました。

IMG_0026mini演題は、『児童・思春期精神科病棟に勤務する看護師の実践能力と医療事故の関連』です。これは、平成26年度 岡三加藤文化振興財団研究助成「児童・思春期精神科病棟における看護師の実践能力に関する実態調査」(報告書はこちら)の結果の一部をまとめたもので、看護実践能力と医療事故との関連を報告しました。

児童・思春期精神科病棟に勤務する看護師391名(有効回答率66.3%)について分析した結果、過去一年間にアクシデントを経験した者は98名(25.0%)、インシデントを経験した者は323名(82.6%)でした。アクシデントの発生に関連する因子は、成人の精神科病棟での勤務経験があること、「連続的・効率的な情報の収集と活用」の看護実践能力の低さ、インシデントの経験数が多いことでした。「連続的・効率的な情報の収集と活用」とは、間断のない周辺事態の観察や短時間の効率的な情報収集を行うとともに、わずかな情報から、あるいは多様な情報を組み合わせ、問題を見極め援助に結びつけるという看護実践を指します。

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また、インシデントの発生に関連する因子は、「連続的・効率的な情報の収集と活用」と「現状に潜む問題の明確化と解決に向けた創造性の発揮」の看護実践能力の低さ、医師との協働実践でした。「現状に潜む問題の明確化と解決に向けた創造性の発揮」とは、安全や安楽を高めるための援助の工夫や習慣化した援助の見直しを行うとともに、単調な日常生活に変化を演出するという看護実践を指します。

これらの分析結果から、成人の精神科病棟の勤務経験を有していたとしても油断せず、効果的に情報収集し、常に援助の見直しと工夫を行うことが医療事故を防止するために重要であることが明らかとなりました。なお、医師との協働実践がインシデントへの影響を示したことについては、医師と連携する機会の多い管理職が、医療事故に関与する機会も多いためと考えられました。

質問やご意見をたくさん頂いたのですが、主なものを紹介します。

  • 具体的な医療事故の内容についてのご質問を頂きました。今回の調査では、アクシデントとインシデントの経験数のみをお聞きしていて、具体的にどのような医療事故だったのかは確認していません。今後は、具体的な医療事故の内容を検討し、児童・思春期精神科病棟ならではの特徴を見出し、事故防止につながるような研究を考えたいと思いました。
  • 看護師の実践能力が医療事故に関連するという結果に対して、実践能力を向上させるにはどうしたら良いのかというご質問を頂きました。これはまさに、現在私たちが取り組んでいるテーマそのものです。日々の臨床での看護経験と臨床を離れた事例検討会や専門書の活用などが必要だと考えています。
  • 他の病棟と比べて児童・思春期精神科病棟での医療事故は多いのか、成人の精神科よりもアクシデントやインシデントの報告が多いのではないかというご意見もありました。他病棟との比較から、児童・思春期精神科病棟の特徴や子どもの行動特性を明らかにしていくことが必要だと感じました。
  • 今回は、実際に調査にご協力頂いた看護師の方が発表を見に来てくださり、ご意見を頂くことができました。本当にありがとうございました。
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