イギリスの児童・思春期精神科看護の実際:視察報告

イギリスの児童・思春期精神科看護の実際と看護師の実践能力を向上させるための取り組みの状況を知ることを目的に、イギリスのバーミンガム市にあるBIRMINGHAM CHILDREN‘S HOSPITAL NHSのChild and Adolescent Mental Health Services(CAMHS)を視察してきました。

バーミンガムは、ロンドンとリバプールを結ぶ線の中間点に位置し、古くから交通の要所として栄え、産業革命後は工業都市として発展したイギリス第二の大都市です。平成26年9月16, 17,18日の3日間の日程でCAMHSのサービス全般と看護師の役割を視察し、CAMHSの看護師に求められる能力と看護師の教育についてのヒアリングしてきました。

CAMHSは、児童期から青年期(主に15歳まで)のメンタルヘルスについてのサービスを多職種で提供している組織です。クライエントからCAMHSへのファーストコンタクトの相談(初診)は、Access Pointというチームが受け付けます。ここには、Clinical Nurse Specialist 2名、Assistance psychologist 2名、 Mental Health Care Assistance 1名が勤務しており、必要な情報集を行った後に、CAMHSでのサービスを開始するかどうかをAccess Criteriaに沿って判断していました。

緊急な介入が必要な場合は、ERA (Emergency Response Team)にが対応します。ERAでは、MDT (multidisciplinary team)でケースミーティングを行い、リスクアセスメントと救急のケアを行い、退院までのプラン(discharge plan)を立てます。

Printing House Street Office, Children’s hospitalに隣接したStaff Station, 市内全域をカバー

Printing House Street Office, Children’s hospitalに隣接したStaff Station, 市内全域をカバー

退院後は、HTT (Home treatment team)が50-60分のアウトリーチ型 ケアを提供します。

緊急の介入が必要でなければ、通所型のケアが提供されます。BIRMINGHAM CHILDREN‘S HOSPITAL NHSのCAMHSでは、CAPA(Choice and Partnership Approach)というシステムを採用していました。CAPAは、ケアを担当するのに最もふさわしい人を職種(バックグラウンド)やスケジュール(ケースロード)から決定し、 Action Planを利用者と一緒に立案・共有し、問題の解決を図るというサービスです。

多職種で連携しつつスタッフ一人ひとりが自立して専門性を発揮したケアを提供する、とても素晴らしいサービスのあり方と思いました。くわしくは、こちらのホームページをご覧ください。(http://www.capa.co.uk/

診察室:担当スタッフが対応します

診察室:担当スタッフが対応します

まずは受付です

まずは受付です

Finch Road Primary Care Centre 通所型ケアを提供

Finch Road Primary Care Centre 通所型ケアを提供

 

 

 

 

 

 

バーミンガム市内を4つのCAPAチームがカバーしており、以下の専門職が各チーム最低1名配置されていました。

– Psychiatrists, Clinical psychologists, Occupational therapists, Mental health nurses, Psychotherapists, Systemic family therapists, Primary mental health workers, Speech and language therapists

一年半前から新しく始めたサービスのTransitionは、ADHDを中心に、16歳以上の全ての患者に対して、環境や家族に働きかける児童・思春期のモデルから、Adultのindividualモデルへの移行をスムーズにするための支援を提供していました。

違法薬物などの法律を犯した18歳未満の青年に対しては、YOS(Youth Offender services)が、どうして犯罪を起こしたのかをアセスメントし、その原因に対して介入を行います。犯罪の背景に発達障害があるケースが多いそうです。

日本と比べて大きく異なっていた点は、入院による危機介入と地域ケアがシームレスになされていること、治療の意思決定がMDT(Multi-Disciplinary Team, 多職種チーム)で行われていること、処方権をもつ看護師が精神科医と協働して薬物療法を実施していること、だと思いました。、CAMHSに勤務している看護師の多くが、自分が今後伸ばしたい専門領域(例えば処方、セラピーなど)について大学のコースなどで学んでいるそうです。

日本の児童・思春期の精神科医療を充実させるためには、看護師が専門性を高め、意思決定に積極的に関与していけると良いと感じました。

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