レベルⅣ

児童・思春期精神科看護の経験がおおむね6年目以上の人を対象としています。レベルⅣでは、高度な看護活動を実践でき、かつ他者にモデルを示すことができる、指導的役割を発揮し、病棟全体の看護の質向上に寄与することができることが目標となります。

各領域の到達目標は、以下の通りです。

アセスメント 子どもと家族のみならず、地域の社会資源や病院の置かれている状況を勘案して、看護に対する高度な管理上の意思決定を行うことができる。
援助の基盤づくり 看護師が子ども・家族との間に良好な治療的関係を構築することができる病棟環境を積極的に創造する。
援助行動 看護実践上の課題に対して介入プログラム・マニュアルの開発および評価を行い、病棟全体の看護の質向上に寄与することができる。
協働 看護の専門性を発揮して多職種チームに貢献し、困難な課題の解決に組織的に取り組むことができる。また、質の高い看護を実践できるよう看護チームのマネジメントを行う。
専門能力の開発 自らのキャリアにおける課題を見出し、高い専門的知識の取得に取り組むことができる。また、病棟の学習ニーズに基づき、ケアの質を向上させるためにリーダーシップを発揮して具体的に取り組むことができる。

レベルⅣでは、看護チームを、困難に対処し治療を前進させることができる組織にすることを目指します。レベルⅠからレベルⅢにある人が、目標を達成できるシステムとして病棟を機能させなければなりません。レベルⅣにある人の中には、すでに主任や副師長などの役職が与えられている人もいます。その場合は、管理業務と看護実践のバランスを取る必要もあります。しかし、ここでは、役職に伴う管理業務ではなく、児童・思春期精神科看護の豊富な臨床経験に基づいて管理的な視点や教育的な視点を踏まえた実践や意思決定ができることを目指しています。

困難な状況に対して、自分が率先して対応すべきか、あえて他の看護師に任せるべきかを考えます。子ども、家族、医療スタッフなどで構成される病棟の様々な側面を俯瞰して見ることができ、治療が上手に展開できるように何をどうすれば良いかをチームの一員として考えます。

病棟スタッフそれぞれがもつ学習ニーズに合った学び方のアドバイスをしてあげて下さい。レベルⅣにある人は、人に教えることによって自らが学ぶのです。教材やマニュアルを作成して活用することにもぜひチャレンジして下さい。

1.アセスメント

特定の子どもの治療の進展だけではなく、治療環境としての機能をアセスメントします。入院の必要性や適切な退院についても、入院中の子どもたちの特性、スタッフの能力などを勘案して考えていく必要があります。

到達目標 子どもと家族のみならず、地域の社会資源や病院の置かれている状況を勘案して、看護に対する高度な管理上の意思決定を行うことができる。
行動指標
  • スタッフそれぞれの特性と能力を知る
  • スタッフに生じていた子どもへの陰性転移・陽性転移に気づく
  • 子どもと治療者を合わせた集団の力動を観察する
  • 子どもによる治療者側の巻き込まれを理解する
  • スタッフ間の分裂のメカニズムを理解する
  • 家族がもつ価値観を理解する
  • 入院している全ての子どもとその家族の特徴を広く把握する
  • 子どもたちへの病棟ルールが機能しているか考える
  • 入院の必要性を考える
  • 適切な退院時期と退院先を考える
  • 子どもに対する病棟ルールの変更の必要性とタイミングを判断する

2.援助の基盤づくり

自分が担当する子どもだけでなく、全ての子どもの家族を知っておくと、何か問題が発生した時に適切なフォローができます。外泊や面会に訪れた親に挨拶をし、親子関係等を観察しておくと良いでしょう。また、病棟チームが子どもへの対応によって分裂しそうになる時も、大事に至らないように事前に備えておくことが大切です。

到達目標 看護師が子ども・家族との間に良好な治療的関係を構築することができる病棟環境を積極的に創造する。
行動指標
  • 入院中のどの子どもの家族とも顔見知りになる
  • 家族からの苦情に対して適切な対応をする
  • スタッフ間の分裂を未然に防ぐ
  • スタッフ間の分裂が生じた時は、早期に対処する

3.援助行動

病棟の看護実践の質を向上させるために、チーム全体に対する働きかけを行いましょう。また、困難なケースについては、これまでのケアを仕切り直し、新しいやり方や支援計画の立案や評価を担当する看護師を交代して、やり直すことも考えましょう。

到達目標 看護実践上の課題に対して介入プログラム・マニュアルの開発および評価を行い、病棟全体の看護の質向上に寄与することができる。
行動指標
  • 多職種や評価尺度を用いて看護のアウトカムを客観的に評価する
  • 看護のアウトカム評価を活かしてより治療効果の高い看護実践を導く
  • 看護師と子どもの相性を、見極め担当看護師を決定する
  • ケアの仕切り直しを判断する
  • 病棟の課題毎にプロジェクトを立てて関わりの手引きにまとめる
  • セカンドオピニオンについて説明する
  • 看護の継続性が確保される仕組みをつくる
  • ケアの質が保てるようマニュアルの作成や見直しをする

4.協働

多職種チームが、チームとして力を発揮できるように先頭に立って取り組みます。今、チームに何が求められているか、看護に何ができるかを日々考えていきましょう。

到達目標 看護の専門性を発揮して多職種チームに貢献し、困難な課題の解決に組織的に取り組むことができる。また、質の高い看護を実践できるよう看護チームのマネジメントを行う。
行動指標
  • 看護の専門性や強みを活かし発展させる
  • 子どもへの対応を通して看護師チームが分断する可能性を理解し、チームが団結して対応する
  • 必要に応じて、特別チームを結成する
  • 看護師それぞれがもつ経験や強みが子どものケアに活かせるよう役割分担を決める
  • 子どもへの対応において統一すべき看護師の判断基準と対応を考える
  • 担当看護師の負担を考慮し抱え込みを防ぐ
  • インフォーマルでざっくばらんなスタッフ間の交流ができる環境をつくる
  • 担当看護師が行き詰まりを感じた時にタイムリーにサポート体制をつくる
  • 他職種と調整して地域の関係機関とのカンファレンスを招集する
  • 事例を通したケアや病棟運営を記録に残して蓄積し、活用する
  • 治療ガイドラインをスタッフに周知させる
  • 看護の質向上に寄与する組織づくりにおいてリーダーシップを発揮して取り組む
  • 看護の質を上げるために他のスタッフを巻き込んで取り組む
  • 一日のチームの動き方を計画する
  • 情報共有と守秘義務に関する倫理的判断を行う
  • 多職種で役割を分担して困難ケースに対応する
  • 主治医・警察等と連携して虐待ケースの対応に応じる
  • いろんな看護師が子どもに関われる体制をつくる
  • 看護チームのマネジメントの役割を担う
  • スタッフみんなが状況に応じてリーダーシップを発揮できる機会を提供する

5.専門能力の開発

リーダーシップや看護管理の考え方を知っていることは、組織づくりを考える上で、とても役立ちます。また、これからの看護における自分のキャリアを具体的に考えていきましょう。

到達目標 自らのキャリアにおける課題を見出し、高い専門的知識の習得に取り組むことができる。また、病棟の学習ニーズに基づき、ケアの質を向上させるためにリーダーシップを発揮して具体的に取り組むことができる。
行動指標
  • リーダーシップについて学ぶ
  • 看護管理について学ぶ
  • 専門のコースを履修して専門性を深める
  • 学会で看護実践を発表する
  • 伸ばしたい専門性を決める
  • 病棟スタッフそれぞれの教育ニーズを知る
  • 病棟スタッフ全員がニーズに合致した学習ができるよう環境を整える

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