子どもの暴力・暴言にどのように対応したら良いですか?

暴言・暴力がエスカレートしていく状況に対する対応

1.興奮を鎮める対応

  1. タイムアウト
     クールダウンを目的に、興奮が収まるまで刺激を遮断し静かな部屋で過ごさせる“タイムアウト”の時間を取ります。子どもが1人で安全に過ごせるように、看護師が子どもから離れる際には、いつまでその部屋で過ごすのかといったタイムアウトの時間を知らせるなど見通しを告げることが必要です。
  2. 意図的に無視をする
     気分が高揚している状態で注意を与えても、切り替えがうまくいかないため、子どもの問題行動に対して、「意図的に無視をする」、「休息を促す」などの対応でクールダウンさせます。これらの対応は、関係性を構築していく段階では、見捨てられ感や不安を煽る可能性も高いため、子どもの様子を注意深く見守り、行動変容がみられたら即座にほめるなどの対応をとります。

2.興奮を助長しない対応・予防的対応

  1. 興奮が増強する前の早い段階で対応する
    興奮すると冷静に話を聞けなくなってしまうため、暴力や暴言に至る前の前兆に気づいて声かけをしたり、静かな場所に移動させてクールダウンを図ったりするなど、興奮を増強させない対応が必要です。こうした介入は、子どもが攻撃を制御できるよう支援することになり、自己統制できたという感覚・自信を持つことへと繋がります。
  2. 刺激を減らす
    刺激に弱く、衝動性が強い子どもに対しては、病室の配置を調整したり、集団活動時のグループメンバーや場に配慮するなど、刺激を遮断します。
  3. 看護師が焦らない
    早く解決しようと看護師が注意や行動制限を課すことばかりに躍起になると、子どものニードと看護師の関わりにズレが生じ、興奮を助長させます。

3.興奮が落ち着いたら・・・

  1. 行動をふりかえる
    暴力・暴言をした時の気持ちと行動を子どもと一緒にふりかえります。その際、たとえわずかであっても子どもの変化や成長を認め、どうすれば良かったのか一緒に考えることが大切です。
  2. 暴言・暴力を起こさないようにしている子どもの努力を積極的に認める

暴言・暴力に至る背景に着目した対応

1.見捨てられ不安

 周囲の大人や仲間に受け入れられていないのではないかという思いから“試し行動”として暴力・暴言を示すことがあります。行動化に至った気持ちに共感し、安心感を与えるように関わりましょう。看護師が「どんなことがあっても見捨てない」という一貫した態度をとることが重要です。

2.認知障害(状況理解や相手の意図を読み取ることできない)

  1. 相手の感情がわからない
    暴力を受けた人がどんな気持ちになるのか言語化して伝えましょう。暴力や暴言を受けた看護師が、その時の気持ちを伝えることも有効です。
  2. 認知障害に対する工夫
    目標や病棟規則、担当看護師との約束などは、子どもの視点に立ってわかりやすく示しましょう。また、行動枠や目標を設定し、最低限のルールを示すとともに、ポスターやチェック表で評価し望ましい行動を引き出します。目標は、子どもが自信を持って取り組み、成功体験が得られるよう、達成の見込みが望めるものを設定します。

3.経験不足や学習不足による問題

  1. 対人関係やコミュニケーションの学習不足に対して
    言葉で自分の気持ちを表現できない子どもが多いため、日々の関わりの中で、場面に応じた言葉遣いやコミュニケーションスキルの学習を図りましょう。
  2. 社会性の学習不足に対して
    暴力に曝されてきた子どもは、粗暴な行動が当たり前になっています。暴力には自己責任とコントロールを負う責任があることを伝え、社会的に認められる行為ではないことを指導します。
  3. 暴言・暴力に代わる表現方法や対処法を身につけさせる

暴言・暴力に対応するスタッフが心がけること

  1. 暴言・暴力に対する基本的な対応を統一させる
     暴力・暴言に対するマニュアルを作成したり、研修等で取り上げることによってスタッフに共通理解が図れると、対応が統一されやすく、子どもの混乱を軽減することができます。
  2. 他のスタッフの応援を得る
     対応するスタッフを変え、子どもと距離を置くことが、興奮を鎮静化させるのに有効に働く場合も多いものです。また、子どもと良い関係性が築けている看護師が対応することで、子どもの暴力・暴言がエスカレートすることを未然に防げることもあります。

さいごに

暴力・暴言へと発展する前の段階で介入できることが望ましいですが、タイムリーに介入していくためには、日頃から子どもの様子や変化を察知しておくことや、子どもが気持ちを表現できるような関係を作っておくことが重要です。事態を収拾させようとすることばかりに視点が向きがちですが、わかりやすく説明したり、コミュニケーションスキルの練習をするなど暴力に至らせない対応も大切です。

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