第44回 日本保健医療社会学会大会で口頭発表をしました

平成30年5月19日・20日に北海道北広島市で開催された 第44回 日本保健医療社会学会大会で口頭発表をしました。

演題は、『児童・思春期精神科病棟での親子支援場面における父親の果たした役割』です。これは、平成25~28年 科学研究費補助金 基盤(C)児童・思春期精神科病棟における看護実践能力向上のための学習プログラムの構築(報告書はこちら)の結果の一部をまとめたもので、看護師による親子支援プログラムについて報告しました。

児童・思春期精神科病棟での看護師による個別的な親子支援プログラムを実施している施設において、自閉症スペクトラム障害と診断されたA君への親子支援場面の参加観察とビデオ撮影を実施し、親と看護師の相互行為についてエスノメソドロジー的分析を行いました。「子の行動について知識を欠く」人物としてプログラムに参加することになった父親が、この参加を通じて A 君の行動について知識を獲得し、A君への支援のための「キーパーソン」となっていくプロセスを丁寧に分析しました。

質問やご意見をたくさん頂いたのですが、主なものを紹介します。

  • 医学的知識をつかう、共感するというスキルをどのように使っているかが見えてくる点は、エスノメソドロジーの研究に適したデータであるというコメントを座長の先生から頂き、エスノメソドロジーを勉強中の身としてはとても嬉しかったです。
  • 父親がキーパーソンになること自体がゴールなのか、この支援のゴールは何か?というご指摘があり、「父親がA君との新しい関わり方を知り、プログラムの中で模擬的に実践できたことに意味がある。その上で、15歳という成長発達の段階から考えた時に、父親がA君との新しい関わり方を体験できた意義が大きい」と答えましたが、論文化する時には、実際に父親がプログラム内で、新しい関わり方を実践している場面の分析も加えると良いのではないかと思いました。
  • 父の葛藤を引き出す場面はなかったのか?というご質問があり、「葛藤を引き出すことを主たる目的とした看護師の行為はなかったし、父親から直接的に葛藤が語られた場面もなかった。」と答えたのですが、再度データを見返して、本当に父親の葛藤は取り扱われなかったのか、そうだとすればそれは何故か分析をする必要があると思いました。

学会で発表することで、たくさんの刺激を頂くことができ、論文としてまとめていこうという意欲が高まりました。どうもありがとうございました。