令和元年6月8日・9日に愛知県名古屋市で開催された日本精神保健看護学会第29回学術集会でポスター発表をしました。
演題は、『児童・思春期精神科看護における看護実践能力自己評価尺度の開発』です。昨年度実施した病棟、外来、デイケア等で児童・思春期精神科看護の実践を行っている看護師へのアンケート調査(報告書はこちら)の結果に新たな分析を加えて、尺度の信頼性と妥当性について報告しました。
この尺度は、「子どもへの直接ケア」、「家族へのケア」、「ケア対象への理解」、「連携」の4因子36項目で構成されますが、検証的因子分析をしてみると良好なモデル適合度が得られなかったという課題がありました。
質問項目を以下にいくつか例として示します。
- 子どもが自分の抱える困難を言語化できるように支援している
- 子どもにあった方法で、怒りや興奮のコントロールを支援している
- 治療の過程で生じた子どもの感情に寄り添っている
- その子どもの家族の強みを知っている
- 子どもの療育環境におけるキーパーソンに働きかけている
- その子どもの問題行動の背景にある発達上の課題を把握している
- その子どもを支援する他の機関の困難を聞き対応方法を伝えている
ポスターを見に来てくださった方から多くの示唆を得ることができました。子どもの精神科病棟で勤務した経験のある看護師さんからは、「質問項目はどれも実際の臨書場面では重要なものばかり。」「看護師が活用し
やすい形にして、早く公表してほしい」「病棟だけでなく訪問看護でも使えそう。看護師以外の職種にも使えるだろう。」というご意見を頂きました。
また、「質問項目の一つを取り上げて、病棟で看護実践ができているかを話し合う」というアイデアも頂きました。
この尺度は、臨床現場で実践を振り返る際のチェックリストとして大変有効だと思いました。
今年は、臨床の看護師さんたちとワークショップ「成長発達を見据えた思春期・青年期のこころのケア検討会」も行い、たくさんの方にお越し頂きました。ご参加下さました皆さま、どうもありがとうございました。