「児童・思春期精神科病棟における看護ガイドライン」妥当性と実用性に関するアンケート調査から

認定看護師に、児童・思春期精神科病棟における看護ガイドライン「児童・思春期精神科病棟 基本のQ&A~」のドラフトを見て頂き、設定した質問への回答が、妥当であるか、臨床で役に立つか、について答えて頂きました。

日本精神科看護技術協会のホームページ上で公開されている情報(H23.11.26現在)を元に、児童・思春期精神看護分野の認定看護師(日本精神科看護技術協会による認定資格)29名のうち宛先が確認できた27名にアンケート調査を依頼し、12名(有効回答率44.4%)から回答を得ました。

対象者は、男性が3名(25.0%)で、年齢の平均は42.9歳(SD=6.1, 範囲: 33-54)でした。現在、児童・思春期精神科病棟に勤務している者は、1名(8.3%)で、その他は、児童・思春期患者のユニット床や専門外来に勤務していました。

アンケートの最後に、多くの方がこのガイドラインについて、ご意見・ご感想を寄せて下さいましたので、ここでその一部をご紹介したいと思います。

  • このガイドラインが広く活用できますよう心より願っています。
  • 専門病棟を有している施設が圧倒的に少ない中、私の課題は「多くの大人の中でいかに子どもを健全な方向に導くか」ということです。つまり、そういった環境は子どもの入院環境として良くないという思い、しかし、現実的に入院を受けざるを得ない…。(略)専門病棟以外で子どもをみることが少なくない中、こういったところにもスポットを当てていただけるとよいかなと思いました。
  • 簡潔にまとめたガイドラインをいただきありがとうございました。私は、児童・思春期病棟にいませんが、今の環境でできる範囲で、努力を重ねたいと思っております。
  • 1つ1つのQ&Aが短くまとめられていることに違和感がありました。(しかし、冊子の主旨なので当然なのかと思います。すみません。)児童・思春期といっても、年齢によって1年1年違います。発達段階や知的な水準、発達障害の関連、同じ年齢でも、男・女で違います。個別に(個別にその家族も)一からアセスメントが必要と感じていますし、入院形態や、入院の目的も本当に様々です。情緒の疾患と発達障害、精神障害ではケアや対応方法も異なります。障害や疾患が重複していることもあります。基本のQ&Aとして新人さん用には良いのかも知れませんが、新人さんに児童・思春期看護が簡単なものではなく、奥深く、幅広い分野であることを、はじめに知ってもらいたいと考えています。虐待児の看護など、デリケートな分野も多く、看護には覚悟が必要ですし、むしろ、簡単に答えのでないことが前提かと日々思います。
  • 質問項目が具体的で、児童・思春期精神科看護について経験のない人でもイメージが持ちやすいのではないかと感じた。
  • とてもわかりやすくまとめられていると思います。児童・思春期の看護を苦手とするスタッフも多く、自分のやっている看護に自信をもてないという声を多くききます。成人に対しては、疾患に対してのアプローチなど多くの文献がありますが、児童・思春期看護は、障害特性や発達との絡みなど、多岐にわたる知識、技術が必要だなと実感しています。ガイドラインが少しでも、看護師が看護していく上での自信になれるような教材になれるよう祈っています。

どれも、もっともなご意見だと思います。 このガイドラインが臨床現場のお役に立てるように、どうしていけば良いのか、私自身まだまだ答えが出ていません。また、児童・思春期精神科病棟という独立した病棟で看護ができるというのは、看護師にとっても入院する子どもにとっても大変恵まれた環境なんだと改めて気付きました。専門病棟を有しない病院で、成人の患者と一緒に子どもの入院治療を行うという状況での看護についても、もっと考えていかないといけないと思いました。

また、看護に一つの正解や答えがあるわけではありません。今回は、児童・思春期精神科病棟での看護について、初学者が基本的な事項を学びやすいようにとQ&A形式のガイドラインの開発に取り組みました。児童・思春期精神科看護の一定の質を確保したいという思いもありました。実際の臨床で出会う子どもたちに対して、個別的な看護を提供する際に、このガイドラインで紹介した基本的な考え方が、参考になるかもしれません。

このアンケート調査で頂いたご意見をもとに、ガイドラインの内容をできる範囲で修正し、今年度末に最終版を完成させる予定です。

 

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