看護師がコミュニケーションに困難を感じる子どもの特徴として、反応がない、関わりのツールが少ない、気持ちを言語化できない、といった自己の気持ちや意思の表出がない子どもがあげられます。また、看護師の話を子どもが理解しなかったり、聞き入れない場合に、子どもに看護師の真意を理解してもらうためにどのように表現して伝えていけば良いかについて、看護師は困難感を感じています。子どもと治療的なコミュニケーションをとるためには、以下のポイントを複数組み合わせて行うと良いでしょう。
1) 子どもの発達における課題や疾患による症状に合わせて関わる
児童・思春期精神科病棟に入院している子どもは、これまでの成長の過程で、発達課題を順調に達成できていない場合も多いため、子どもの発達における課題を理解した上で関わりましょう。また、子どものもつ障害が、コミュニケーションにどのように影響しているかを知っておく必要があります。
2) 非言語的コミュニケーションを活用する
非言語的コミュニケーションとは、待つ、黙って側にいる、身体に触れる、などです。少し離れた場所から見守る、身の回りの世話をする、マッサージをする、ということも非言語的コミュニケーションの一つといえます。
3) 遊びや活動の中で治療的な関わりを意識する
子どもと治療的なコミュニケーションをとるためには、子どもが問題をおこしていない時に、いかに関わるかが重要です。遊びやレクリエーション、交換日記、作業などを通してのリラックスしたコミュニケーションの中から子どもの気持ちを引き出し、本音を推察するという関わりが必要でしょう。
4) 子どもに安心感を与える
子どもに安心感を与えるためには、非言語的コミュニケーションを活用して、安心できる空間を提供すること、看護師が子どもと一対一で関わること、子どもに肯定的なフィードバックをすること、などが挙げられます。
5) 子どもの気持ちを推察する
コミュニケーションにおいては、子どもはどのように受け止めているのかに常に注意を払いましょう。子どもは、大人と同じようには物事を捉えたり、解釈しない場合もあるため、子どもの捉え方、子どもの文脈を理解する必要があります。
6) 一対一で関わる時間を十分とる
一対一で関わることで、子どもの発達状況や疾患による症状を含めた子ども自身についての理解を深め、また信頼関係を築くことができます。
7) 自分の役割を意識して関わる
看護師は、病棟内および子どもにとっての自分の立ち位置を意識して子どもと関わる必要があります。子どもが自分をどのように感じ、何を求めているのかを知らなければ、その子どものケアにおける自分の役割を知ることはできません。児童・思春期精神科看護とは、複数の看護師が子どものケアにおける自分の役割を意識しチームで関わるものです。
8) 看護師が自分の個性を生かして子どもと関わる
自分の個性を生かして子どもと関わるためには、看護師が自分自身についての洞察を深める必要があります。自分は、どのような価値観や考え方をしているのか、どのように物事に取り組むのか、など自分自身と向き合うことになります。