ゴールまでの見通しを立てる

支援者が家族からの相談を受けた時、ひきこもり状態にある本人は、何もできず、生きる価値がないという絶望を抱き、社会の中で完全に孤立していることが多いです。支援者は、家族から得た情報に基づいて、ひきこもりの背景にある課題を見立てたり、家族の力量や危機の切迫性を評価したりして、支援全体の方向性を見出した上で、訪問支援の位置づけを明確にし、支援目標を達成するまでの見通しをつけていました。

ひきこもりの背景にある課題を見立てる

対象者は、家族から聞いたり、住環境等を観察するために訪問したりすることによって、ひきこもりの背景にある課題を見立てるために必要な情報を得ていました。主な情報は、成育歴、ひきこもりの程度、精神状態、家族関係、家族の状態、ひきこもりへの偏見、相談歴などでです。アセスメントシートの使用や事例検討会の実施など、適切な見立てが得られるように工夫しているところもありました。

危機が切迫しているときは危機介入を判断する

本人に自傷他害があったり、家族や本人の健康状態の急激な悪化があったりした場合は、危機が切迫していると考え、危機介入が判断されました。

本気で本人と向き合う力が家族にあるか見極める

支援者は、家族が本気で本人と向き合う力が家族にあるか見極めていました。家族が、支援者と支援関係を構築し、本気で本人と向き合う力がない場合は、訪問を続けても本人とつながることは難しいと考えていたのです。

支援全体における訪問支援の位置づけを明確にする

ひきこもり支援は、複数の機関や専門職が連携して行います。ケースに関わる機関・スタッフ(支援チーム)で、訪問支援の役割や目標の明確化を行っていました。訪問支援の対象を定めている支援機関の場合で、当該機関の支援対象にならなかった事例は、適切な支援が受けられるように照会していました。