本人に働きかけるための環境を整える

熟練支援者は、危機介入や家族支援によって、ひきこもり本人と家族との関係性を再構築することで、本人に対してひきこもっている自分に対してこのままではいけないという葛藤を喚起させていました。

本人または家族の危機に介入する

熟練支援者は、事前に危機介入時の対応を家族に伝えておき、危機が生じた際は警察・保健所・病院等がひきこもり本人の生活空間にスムーズに入ることができるように協力していました。そして、危機介入後に、本人が適切な支援機関につながるように調整したり、本人と支援関係を構築出来るように働きかけたりしていました。具体的な危機として、暴力、家族の健康状態の悪化、自殺未遂などがあげられます。

本人と家族の関係性を再構築するために家族を支援する

家族支援は、通所で行われることが一般的でしたが、家族の状況や組織の体制によって訪問で行われることもありました。ひきこもり状態にある人の日常生活の自立と家族とのコミュニケーションの回復のために、本人との関わり方の助言や家族自身の困り事・不安や不満の傾聴など家族を対象とした支援を行っていました。

関係機関と情報を共有し、訪問支援のバックアップ体制を構築する

熟練支援者は、ケースそれぞれの事情に合わせて連携する機関と情報を共有し、訪問支援のバックアップ体制を作っていました。例えば、未受診の精神疾患患者の可能性が高い場合は保健所や医療機関、自傷他害の恐れがある場合は警察、知的障害が疑われる場合に障害者相談支援センターなどに働きかけていました。

ひきこもっている自分に対する葛藤を喚起させる

親がひきこもり状態にある我が子との関係の再構築や態度の変容に取り組むことを支援することは、ひきこもり状態にある人にとっては、ひきこもっている自分に対する葛藤を喚起させることにつながっていました。支援者は、本人が葛藤を感じて行動を変化させているかを家族の情報から把握していました。