生活上の困りごとや希望に対処することを通して、ひきこもり状態にある本人は少しずつ活動範囲・関係性を拡大させていきます。熟練支援者は、社会とのつながりを拡大していく際には、人の役に立つ喜びを感じることができるように工夫していました。
自宅外で体験を共有する
数回訪問をした後に、自宅外で一緒に過ごすように誘うことはよくあります。外食、散歩、キャッチボール、居場所など本人の興味関心に沿うような活動を提案していました。
関わる人を増やす
熟練支援者は、本人が訪問に慣れた頃、複数のスタッフで訪問したり、ピアサポーターを同伴したりするなど年齢・性別・趣味などから本人と合う支援者の訪問を同伴させることで、関係性の拡大を図っていました。
自分なりの社会とのつながり方の自己決定に伴走する
活動範囲や関係性が拡大していく中で生じる不安や悩みを聞きながら、本人の変化をしっかりと観察していきます。そして、本人の成長をフィードバックする、モデルになる、アドバイスをするなど、本人が自分のペースで自己決定できるように支援していました。
社会と再会するための道具的サポートを提供する
支援者は、本人の自己決定した社会参加の形が実現するように、本人が苦手な部分を支援していました。仕事を提供する、車で送迎する、同行する、などの道具的サポートが主に行われていました。
活動する楽しみや人の役に立つ喜びを感じてもらう
自宅外で体験を共有したり、人との関わりが増えたりすることを通して、本人が活動する楽しみや人の役に立つ喜びを感じられるように工夫していました。訪問支援の対象者が日中の交流の場(居場所)に行くことを定着させるために、役割や充実感を感じてもらうことは非常に重要です。